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No.25 ネーミングライツの是非(2009年10月号)

9年連続の200本安打という大偉業を達成したイチロー。彼が所属する球団に、実は公共施設の在り方を考えるヒントがあります。今、財政が厳しい横浜市にあって、市民の皆様にも一緒になって考えて頂きたい問題なので、少しお付き合い下さい。

イチローが所属する球団は、皆様ご存じの通り、シアトル・マリナーズ。では、マリナーズの本拠地の球場名は何でしょうか?
正解は、「セーフコ・フィールド」です。ところで、この球場の所有者はマリナーズではありません。ワシントン州です。セーフコ・フィールドの名前は、実はシアトルの地元保険会社「セーフコ」に由来しています。なぜ、ワシントン州が所有する球場なのに、名前に州名を使わず、企業名が付いているのでしょうか?

実は、セーフコが球場の名前を買ったのです。これを「命名権」、通称「ネーミングライツ」と呼び、公共施設の名前に企業名を付ける代わりに、企業が自治体に対して年間に数億円を支払います。

横浜市でも小机にある横浜国際総合競技場がネーミングライツによって「日産スタジアム」になりました。契約期間は5年で、年間に4億7000万円のお金を日産から貰っています。問題はここからです。

今、日本でもネーミングライツの導入が進んでいます。企業は広告効果が狙いです。ところが、いくつか問題があって、

(1)そもそも公共施設の名前に企業名を入れるのはどうなのか、(2)契約の度に企業が変わる可能性があり、施設名が定着しない恐れがある

などです。ただ、一方で自治体財政は厳しく、施設の維持管理費がねん出できないという問題も抱えています。

私は、ネーミングライツには向き・不向きがあると考えています。横浜国際総合競技場のようなスポーツ施設はまだしも、例えば、横浜開港資料館や市歴史博物館のような文化施設にはネーミングライツは馴染まないように思います。まず、この点について市民の皆様はどうお考えになりますか?

さて、日産スタジアムでは(2)の問題が現実のものとなりつつあります。業績不振の今、4億7000万円の負担が難しいと契約更改を迎え難色を示しています。横浜市は企業の言い値つまり値下げして契約更改するのか、それとも新しい契約企業を探すのか、いずれの選択でも賛否両論出てこようかと思います。私は名前がコロコロ変わるくらいなら、ある程度の譲歩は致し方ないと考えていますが、皆様はどうお感じになりますか?

もう一度、アメリカの話に戻ります。アメリカと日本はネーミングライツの文化が違います。向こうは広告という位置付けではなく、あくまで社会貢献、地域貢献という位置付けです。そのため、契約期間も20年~30年と長い。自治体にとってネーミングライツは有難い仕組みではありますが、単純に仕組みを輸入するのではなく、成り立ちから理解して導入を検討する必要がありそうです。