2008年7月15日 12:10
ご存知の通り、本市政レポートは毎月1回発行してきました。
本号は7月、8月合併号として発行します。
また江田けんじ衆議院議員より「脱藩官僚の会」の趣旨について短い寄稿をしてもらいましたので、そちらもご覧下さい。
さて、これまで街頭演説やホームページを通じて、今、横浜市で新税の導入が検討されていることをお伝えしてきました。
今号では、新税の概要と課題点を整理した上で、現時点での私の考えを表明したいと思います。どうか最後までお付き合い頂きまして、新税導入の是非について市民のみなさまのご意見をお聞かせ下さい。
■日産スタジアム16個分の緑が減っている
まず、「何のための新税なんだろう?」、そういう疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。目的は緑の保全です。今、1年間に横浜市から約100ヘクタールの緑が消えています。小机
にある日産スタジアム約16個分と言えば、どれだけ緑が減少しているかお分かり頂けると思います。
横浜市は2007年8月に「地方税制の有識者による横浜市税制研究会」を設置し、これまでに7回にわたり議論してきました。
その中間報告が出たのが2008年6月。具体的には2つの対策を打ち出しました。
①税負担の軽減
②新税の導入
①については、市街化区域における固定資産税を免除する。条件は500平米以上の緑地であることと、10年以上緑地を維持すること、つまり売却しないこと。これにより、本来開発が前提となっている市街化区域における緑地保全を図る。
②については、市民から広く負担してもらう。まず結論から申し上げましょう。現時点での横浜市の試算によると、市民一人当たり(現在、市民税を納めている人が対象)一律年間13
00円の負担増となります。この税収アップにより、緑地を横浜市が買い取る計画です。年間約114億円という試算になります。
■横浜市が開発ストップを強制できるの?
緑地保全については市民のみなさまにも多種多様なご意見があろうかと思います。例えば、「そもそも横浜市が開発を許可しなければいいのではないか」という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
市街化区域の場合、そもそも開発が前提となっている区域のため、横浜市が開発にストップをかけるのは非常に難しいのが現状です。開発をストップできないまでも、例えば、減少する
緑地面積に応じて、ディベロッパーに対して負担金を課金するというアイデアもあります。しかし、実はこれは税の公平性に反する措置となってしまいます。さらに負担金を課金したとしても、ディベロッパーが課金された分を宅地の価格に転嫁して販売する可能性もありますから、緑地減少につながる宅地開発を思いとどまらせるという効果の実効性に疑問符が付きます。
以上、ざっとではありますが、緑の保全を目的とした新税導入を検討する至った背景と現状について説明しました。ここまで読んで、市民のみなさまのお考えはいかがですか?
■2つの条件をクリアしてから新税導入すべき
さて、ここで私の考えを表明したいと思います。「拙速に新税を導入すべきではない。まず、打つべき手を打ち、税金のムダ使いをなくした上で、市民の合意を得るべき」
つまり緑地保全のために新しい財源(新税)は必要であり、近い将来導入した方が好ましいと私は思います。しかし、市民のみなさまに新たな負担をお願いする以上、現行の緑地保全制度の周知徹底を図ったり、税金のムダ使いをなくしたりしなければ、理解が得られないと思うのです。これは金額の多寡の問題ではありません。
既に横浜市は緑地を保全するために固定資産税や都市計画税を減免する制度を整えています。しかし、最近行った調査結果で、緑地の所有者に周知徹底されていないことが明らかになりました。
少なくとも制度をしっかり理解してもらい、できれば、その制度を利用してもらうよう働きかけるべきでしょう。
もう1つは税金のムダ使いをなくすこと。6月以降、連日のように大手新聞各紙の地域版で病院協会の補助金不正受給事件が報道されています。紙面に限りがありますから、本稿で解説できませんが、少なくともこの事件は市民の貴重な税金が不適切な形で外に流れた事件です。しかも市長に極めて近い組織、人物の周囲で起きている事件です。
前述したように、金額の多寡ではありません。市民感情として、「やるべきことをやっていないのに、簡単に負担を求めてくれるな」というのが率直なところではないでしょうか。
■今こそ力強い政治を!
私は常々、日本という社会が今、大きな転換期を迎えていると感じています。高度経済成長時代はとうの昔に終わりを告げ、成熟社会に突入した日本。さらに世界でも稀に見るスピードで進む、少子高齢化社会。税金の担い手である労働人口は減り続け、所得も増えにくい一方で、医療や福祉など必要なお金は増加の一途です。
今、議論すべきは官がやるべきことは何か、です。横浜市会議員がすべきことは住民の福祉を最大にすること。では、住民の福祉とは何でしょうか。少なくとも20年前、緑地保全を求める声は市民のみなさまの中には少なかったはずです。つまり、時代の変化と共に、住民の福祉が多様化しているのです。今回のケースでいえば、緑地保全を税金ですべきなのか、それとも
募金など民間の努力の任せるべきなのか、緑地保全が住民の福祉に含まれるか否かが大きく問われています。
本来、こうしたことを選挙の時に、市民に、国民に問うべきなのでしょう。国政でも衆参のねじれが問題視されていますが、私は本質は違うところにあると思います。これからの日本をどういう方向に導こうとしているのか、その明確なビジョンを提示できる政治家が少なくなっていること。そして政治がポピュリズムに走っていること、それこそが最大の問題であり、日本が抱えている危機なのではないでしょうか。
私はアメリカのような低負担低福祉の社会は日本に馴染まないと思います。欧州のような高負担高福祉の社会、困っている人をみんなで支える和の社会の方が日本人の気質に合っているのではないでしょうか。新税導入も含め、市民のみなさまのご意見をお待ちしています。
