2009年10月24日 08:32
日産スタジアムのネーミングライツは来年の2月で契約が切れます。現在の契約金額は4億7000万円/年。来年の契約に向けた話し合いが進んでいた今年8月、日産自動車から4億7000万円では契約更新できないと言われました。
そこで横浜市は横浜国際総合競技場のネーミングライツを再公募。今後の契約金額は3億円/年で、契約年数は3年以上。ところがこの金額でもネーミングライツの獲得に手を挙げる企業がいませんでした。
ここからが問題です。どうするのか。来年2月で契約は切れてしまいます。契約が切れれば、名前を元に戻さなければいけないため、駅や道路などの案内掲示板の取り換えなど約1億円の事務経費が発生すると言われています。
考えられる選択肢はいくつかあります。1つはネーミングライツの公募停止。1億円の事務経費と競技場の維持管理費が毎年、横浜市に発生します。
第2の解としてはあくまで3億円での契約を目指す。世界を見ても、国内を見ても、横浜国際総合競技場と同レベルのスポーツ施設のネーミングライツ契約金額は2億3000万円~3億円が相場です。その相場を崩さないためにも3億円は譲らない。
ただ、その場合に、来年3月までに契約が締結できないかもしれません。横浜市は1億円の事務経費を2度負担することになります。1回目は日産スタジアムから横浜国際総合競技場への案内標識の変更、2回目はネーミングライツの契約企業が決まった後、横浜国際総合競技場から「○○スタジアム」への案内標識の変更。
第3の解は、ネーミングライツの契約金額の引き下げです。手を挙げる企業が出ててくるまで契約金額を引き下げる。
第2の解と第3の解の違いはなんでしょうか。数字を使って考えてみましょう。お付き合い下さい。その前に、第2のケースの場合は契約企業が日産自動車から別の会社に変更になる可能性が高く、一方、第3のケースは引き続き日産自動車が契約する可能性が高くなりますので、それを念頭に以下を読み進めて下さい。今、横浜国際総合競技場の年間維持費は4億円~5億円と言われています。
まず第3のケースを考えましょう。そのまま引き続き日産自動車と契約になりますから、駅周辺などの看板の付け替えなどの事務経費は横浜市に発生しません。ただし、仮に契約金額が1億5000万円だとすると、年間2億5000万円の維持費の負担が横浜市に発生します。契約期間が3年だとして7億5000万円です。
では第2のケースはどうでしょうか。3億円での契約のラインを崩さないわけですから、来年3月までに新しい企業が見つからないことが想定されます。その場合、横浜市には前述したとおり2億円の事務経費が発生します。加えて4億円の維持費の日割り分です。ここでは仮に来年8月までに次の契約が見つかるとします。そうしますと、横浜市が負担する維持費は2億円。そして、ネーミングライツの契約金額は3億円ですから、横浜市は4億円-3億円=1億円の年間維持費の負担が発生します。契約金額が3年だとして3億円です。トータルで横浜市の負担は2億円+2億円+3億円=7億円です。
そう、ここまで読み進めばお分かりだと思います。第2のケースでも第3のケースでも横浜市の負担はさほど変わらないのです。仮に1年間、契約企業が見つからなかったとしても横浜市の負担は9億円で、第2のケースより1億5000万円の負担増です。
第2のケースにはいくつか不安な点があります。1つは契約金額を下げた場合、さらに次の契約時に本来のあるべき水準に戻せるのか?一般的な常識に照らし合わせれば、一度引き下げた契約金額を元に戻すのは大変難しいでしょう。そうしますと、横浜市は今後、恒常的に年額2億5000万円の維持費を負担することになります。10年で25億円です。さらにネーミングライツの相場を大きく崩してしまうことになり、他の自治体に与える影響も甚大です。
対して第3のケースでの横浜市の負担は1億円ですから、10年で10億円です。次の企業を見つけるまでに、若干の事務的な混乱は発生するかもしれませんが、長期的な視点に立てば間違いなく第3のケースの方が優れています。ネーミングライツの相場を崩すこともありませんから、他自治体に迷惑を掛けることもありません。
横浜市は今、最悪の選択をしつつあります。なんと、契約金額をさらに下げて、1億5000万円で再々公募をするというのです。そして、日産自動車が1億5000万円なら契約を考えると言っていると新聞で報道されています。本当に、それでいいのでしょうか。横浜市はどこまで数字の議論をしたのでしょうか。どれだけの時間軸で今回のネーミングライツを検討したのでしょうか。
週が明けたら、当局に確認したいと思います。私は1億5000万円は安過ぎると思います。
コメント(4)
たしかに少しでも高いネーミングライツで計約を結ぶべきです。ただし、まったくスポンサーが離れてしまうのも問題です。また横浜に本社を置く日産自動車と建設的で良好な関係を双方で維持しお互いに発展していくことも大事だとおもいます。
官僚任せにして高い安いと言ったところであまり解にはならないとおもいます。大義は横浜が良くなることですから、契約金をあげるには官僚、横浜選出の各議員、市政トップの方々がオール横浜でプロモーション活動し、結果を出すことが大事ではないでしょうか。
わたしはたとえある程度金額が下がっても、いまの経済不況を考えれば、日産自動車にスポンサーになっていただいてもいいかとおもいます。日産が本社を立地し、市内就業人口が増加し、取引企業や周辺産業が育成され市内経済や雇用に好波及が発生し、マクロ経済として横浜に好循環を促すことのほうが望ましいと思います。
横浜市会議員 伊藤大貴さま
ネーミングライツの値段の話題で私が連想するのは、オリンピック競技の放映権料の件
です。公正な価格がどの程度であるのか、わかりにくい点で共通していると存じます。
そこで管見です。
自治財政を運営していくうえで、ネーミングライツ収入のような”あいまいな金額の収入”に
依存しない体質にすることが肝要と考えます。m(_ _)m Labyrinth
通りすがりの市民ですが、話を聞かせていただく限りでは1億5000万はちょいと安すぎる気が・・・
まあ、不景気なんでなかなか金を出す企業がでてこないのもしょうがないけど・・・
とりあえず、その辺りをうまいことやって頂くために政治家や公務員の方々がいらっしゃる訳なので、問題ないようにお願いしますね。
あとは頼みました。
1億5000万円で日産自動車に譲歩するのは反対です。実際に開催できているイベント、集客力、テレビでの放送などメディアを通じての訴求力という面では全国でもトップクラスの施設だと思います。そこが大幅な値下げをしてしまえば地方の施設にも悪影響を及ぼします。確かに日産にとどまらず企業は収支悪化に直面しており、いま3憶円で手を挙げてくるところは出てこないかも知れませんが、経済の復調が見えるまでは無冠の状態になることも覚悟すべきだろうと思います。
看板のつけかえなどの費用を事務経費と呼ぶというのも一般人にはなじみにくいお役所言葉な気がしますが、それが1億円もかかるとは驚きました。ネーミングライツ料がはいったら丸々維持管理費がセーブできるという風に思いこみがちですがそれは違うことを教えられました。
日産自動車といえば本社を横浜に移転するなど横浜市にとっては大事な企業でしょうが、本社移転誘致にあたっては色々とインセンティブも出しているのではないでしょうか。思えば林市長も前は日産の役員。この件もその日産が相手だけにおかしな憶測や疑念を招くようなことがないよう透明性の高い決着の仕方をすることも同時に望みます。